地番が分からない / 実家相続でよくある困りごとと解決策

目次

なぜ住所では相続登記できないのか?—地番と住居表示の違い

親が亡くなり、実家の相続登記を進めようとしたとき、最初の壁としてよく挙がるのが「地番が分からない」という問題です。

「住所」と「地番」は、それぞれ別の制度に基づく番号です。この違いを押さえておかないと、手続きのたびに混乱することになります。

【住居表示】

郵便配達や緊急車両の出動をスムーズにするため、1962年制定の法律に基づき設定された番号。「○丁目○番○号」という形式で、建物の入口を基準に付けられます。つまり、建物に付けられた番号です。

【地番(不動産登記上の番号)】

明治時代から続く土地登記制度に基づき、一筆ごとの土地に付けられた番号。「○○区○○町○番」という形式で管理されます。法務局の登記簿はこの地番を基準にしており、すべての不動産登記申請で地番が必要です。

法務局は土地や建物を私たちが普段使っている住居表示ではなく、「地番・家屋番号」を用いて管理しています。住居表示が実施されている地域では、住居表示「堺区大町西1丁1番1号」の地番が「堺区大町西1丁45番」というケースも珍しくありません。したがって、法務局で不動産に関する情報を知るためには、まず「地番・家屋番号」を調べる必要があります。


地番が分からないと相続登記はどうなる?—2024年義務化との関係

2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。相続や遺贈によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請をしなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。この義務化は2024年4月1日以前に発生した相続にも適用されますが、その場合は「2027年4月1日まで」を期限とする経過措置が設けられています。

遺産分割協議が整っていない段階でも、「相続人申告登記」の申告を行うことで、登記申請義務を果たしたとみなされる制度があります。ただし、後に遺産分割が成立した場合は、その日から3年以内に改めて相続登記の申請が必要です。詳細な要件・効果は個別事情によって異なりますので、専門家への確認をお勧めします。

地番が分からなければ、登記申請書の「不動産の表示」欄に正確な地番を記載できず、そもそも申請書を作成できません。また、地番が確定しないと、抵当権の設定状況や共有者の有無といった権利関係も確認できません。まず地番を特定し、登記事項証明書(登記簿謄本)を取得して権利関係を正確に把握することが、相続登記を進める第一歩です。


地番の調べ方—窓口・オンライン・電話の使い分け

地番を調べる方法はいくつかありますが、状況に応じて方法を使い分けることで、効率よく地番を確認できます。

方法 1

固定資産税納税通知書を確認する

毎年4〜5月に市から届く納税通知書の課税明細書に、「所在地番」が記載されています。手元にあれば最も早く確認できます。

方法 2

各自治体で台帳・名寄帳を取得する

不動産所在地の市役所などで固定資産課税台帳や名寄帳を閲覧・取得することで、地番を確認できます。窓口では本人確認書類の提示が必要で、相続人として申請する場合は被相続人との関係を証明する戸籍謄本の提出を求められることが一般的です。(詳細は事前に各自治体へご確認ください)。

方法 3

法務局に住居表示から地番を照会する

不動産を管轄する法務局の窓口または電話で、住居表示と地番の対照表をもとに地番を案内してもらえます。電話で問い合わせる際は、法務局ウェブサイトで管轄法務局の電話番号を調べ、事前に建物の住所、地番、建物の名称などを準備しておきましょう。

上記以外にも、法務局に備え置かれている端末から検索する方法や、ネットから登記情報提供サービスにおける「地番検索サービス」や民間の地番検索サービスなどを利用する方法もあります。

手数料について

固定資産課税台帳の閲覧・名寄帳の取得などには手数料がかかります。金額は変更される場合がありますので、最新情報は各区役所にお問い合わせください。公図の写しが必要な場合は、法務局窓口で1通450円(本記事作成時点)が目安ですが、こちらも変更される場合があります。


固定資産税納税通知書が見つからない場合の対処法

通知書が手元にない場合でも、地番を確認する方法はいくつかあります。

前述したように公的機関への問い合わせや照会が最も有効な方法ですが、古い権利証(登記済証)・売買契約書の確認も見落とされがちな手段です。実家の重要書類を収めた場所に不動産関係の書類が残っていないか、改めて確認してみてください。地番が記載されていることがあります。

司法書士・弁護士への依頼も有効な選択肢です。専門家であれば、住居表示や周辺情報から効率的に地番を特定できます。相続登記まで一括して依頼する場合、地番調査も含めてまとめて進められるため、時間と手間を大幅に省けます。費用は事務所や案件の内容によって異なりますので、複数の事務所へ事前にご確認ください。


まとめ:地番確定から相続登記完了までの確認リスト

以下の手順を参考に、着実に手続きを進めてください。なお、必要書類や要件は相続人の人数・遺産分割の方法・遺言の有無などによって異なります。

地番の確認

  • 固定資産税納税通知書を探す(課税明細書に地番が記載されています)
  • 見つからない場合は、該当区役所で名寄帳または固定資産課税台帳を取得する
  • 法務局で住居表示から地番を照会する
  • 準備するもの:本人確認書類、戸籍謄本(相続人であることの証明)

登記情報の確認

  • 地番が確定したら、法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得する
  • 所有者・抵当権の有無・共有関係などを確認する

相続関係書類の収集

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書(遺産分割協議を行う場合)
  • 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議を行う場合)
  • 固定資産評価証明書(登録免許税の計算に必要)

※遺言書がある場合や法定相続分どおりに登記する場合など、相続の方法によって必要書類が変わります。詳細は専門家にご確認ください。

相続登記の申請

  • 登記申請書を作成する
  • 必要書類をまとめて法務局に提出する
  • 登録免許税を納付する(固定資産評価額の0.4%が基準。詳細はご確認ください)

完了後の確認

  • 登記完了後、登記識別情報通知書を受領する
  • 登記事項証明書を再取得し、内容に誤りがないか確認する

地番の確認は相続登記の入口にすぎませんが、ここで手間取ると全体の手続きが遅れてしまいます。判断に迷ったり、状況が込み入っていたりする場合は、早めに専門家へご相談ください。

免責事項 / NOTE


本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づくものであり、法改正等により内容が変更される場合があります。最新の制度運用や手続きは法務省・法務局等の案内でご確認ください。具体的なご状況については、弁護士・司法書士等の専門家にご相談されることをお勧めします。

目次